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2024年5月11日よりギャラリー85.4において、 ノナカヒル・ロサンゼルスによる安永正臣の新作彫刻の個展を開催

2024年5月11日よりギャラリー85.4において、ノナカヒル・ロサンゼルスによる安永正臣の新作彫刻の個展を開催します。

古来より人類は住処をこしらえそこで暮らし、様々なものを容器に貯蔵し、死者を棺に納め弔ってきた。現代人もさして変わらず、大切にしたいものをそれに適した、「うつわ」に収めている。「うつわ」とは広義において、「大切にする」「守る」という行為の痕跡であり、すなわち「心情」「願い」の象徴的な存在であると考えている。̶

安永正臣は過去に類を見ない技法で物理的に、そして哲学的に自身の表現の追究を続け、釉薬、石、ガラス、モザイクタイルなど造られたアッサンブラージュとも取れる作品は見る者を共感と未知の世界へ誘い、彼の物理、時間、そして神秘に対する好奇心と探究心が垣間見える。

作家曰く、「私たちが今ここにある自分の意識を離れ何かを想うとき、そこには少なからず距離が存在している」。精神的な距離に加え、焼成という自身の介入を許さない状況下での美の探究は容易ではない。しかしながら自らの手元を離れ、物質の変化が起こる焼成という行為こそが安永氏の制作において最も重要な行為であり、探究の核となるものである。作家の意思によって重力に反し造形された像は、焼成の過程で熱と重力により物質が変容し、その姿を変えていく。

その様は人工物から自然へ還元するプロセスであり、同時に自我の消失を物語る。築かれた物質と想いは熱のなかで溶けて混ざり合い、焼成を得て残るものは空虚でがらんどうな器̶EMPTYVESSEL̶である。

安永正臣は1982年電力会社の技術者の父と、敬虔なクリスチャンの母のもと⻑男として大阪に生まれ、6歳で三重県に引っ越す。17歳の時に大阪産業大学のオープンキャンパスで星野曉氏の作品と出会い、その異様さに衝撃を受け、星野氏のゼミに所属し直接教えを受けることとなる。卒業後、伊賀に移り住み造形作品を制作するかたわら、器作家としても活動し、その際に行っていた薪窯での焼成が現在の焼成理論に繋がっていく。

この頃から安永氏は骨董品及び、それらの空虚性に興味を持つようになる。また祖母の死に際し、その死を忘れないという思いのもと、火葬したあとの遺灰で釉薬を作り白磁を焼いた。安永氏は器を作る中でも一貫して焼成を探求し、それらを経験として蓄積していき、2012年からは釉薬のみでの造形を始める。2015年には⻑男の誕生をきっかけに、それまでにはなかった生命の容れ物としてのEmptyCreatureシリーズを作り始める。独自の技法と素材で動物的に形どられたこのシリーズは、様々な歴史や場所を連想させ、美しくも面妖なメナジェリーを奏でている。ギャラリー85.4での展示は、このようながらんどうな器を生命の器として提起する作家の哲学を継続するものである。

安永正臣は三重県伊賀市を拠点とし、Nonaka-Hillが代表を勤めています。

MASAOMI YASUNAGA:EMPTYVESSEL
一般会期:2024年5月11日(土)-6月16日(日)
会場:Gallery85.4
住所:東京都渋谷区神宮前2丁目6−7神宮前ファッションビル1階
電話:03-6447-0325
時間:12:00-19:00
定休日:水曜/不定休有

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